公開: 2020年4月17日
更新: 2020年4月17日
私たちが何かについて思いをめぐらせるときに、その対象の「何か」について考えるために必要な名詞を「術語」(じゅつご)と呼びます。術語は、私たちが普段、周りの人々と会話をするために使っている言葉とは違って、はっきりと意味や使い方が決められている専門的な言葉です。
例えば、算数や数学で、「直線」と言う言葉を使いますが、この言葉の意味は、細かく決められています。私たちが日常の会話で、「真っすぐな線」と言う意味で使う直線の意味と、算数や数学の「2つの点を結ぶ最も短い線」を意味する言葉の意味は、似ていますが、少し違います。
算数や数学の「直線」は、2つの点を結ぶ最も短い線なので、その線が私たちが普段思っているような真っすぐな線である必要はありません。宇宙空間では、光は最も短い距離を探して飛んでゆきます。ですから、光は算数や数学の直線の通りに進みます。
光が飛んでいる宇宙空間では、重力の影響で、空間が歪(ゆが)んでいます。重い星があると、光も星に引き付けられます。ですから、光は真っすぐに進んでいるようですが、少し曲がって進んでいるのです。しかし、それでも光が進んでゆく道をたどると、それは算数や数学で言う「直線」なのです。
この例で示されるように、ときどき、術語は、私たちが日常会話で使っている言葉と、違う意味を持つことがありますが、それは、術語が使われる学問分野で、問題を起こさないように、意味を決めているからなのです。そのためにも、言葉の意味を決める「定義」は、はっきりと、注意して、書いておかなければなりません。